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フローマインド10   今に生きる生き方

2021.04.29

今に生きる生き方 (辻秀一メソッドより)


 

■             今に生きると考えればいい

 

ライフスキルには「今に生きる」っていう思考があります。それは、簡単に「今に生きる」と考えればいいだけです。「以上、終わり。」です。

どうしてそう考えるのか。「今に生きる」って考えると、気分が変わるんです。絶対考えてみてください。考えていない自分より、気分いいはずです。

すごくシンプルなので、とにかく今に生きるっていうことを考えるっていうことを習慣づける。これだけでいいんですが、皆さんが考えやすいように、少しその背景をお話しして理解していただきたいと思います。

 

■             目の前にぶら下がる3本のひも

僕らは、通常「認知の脳」で生きています。この認知の脳は、行動を決定するために外側に向いています。僕らはこの認知の脳により行動を決定するため、過去のことを考えたり、未来のことを考えるのが、とても多いんです。すなわち、認知の脳だけに任せておくと、過去や未来のことをつい考えてしまうようにできています。

私たちは、目の前に「今」というひもと、「過去」というひもと、「未来」というひも、この3本がぶら下がって生きています。「どのひもを引っ張ってもいいですよ」って言われながら、我々は生きているわけですが、認知の脳だけで生きてると、行動を決定するために過去を分析したい。原因をみつけたい。そこからソリューションを出したい。いろいろ過去を振り返るように認知の脳はできているわけです。なぜなら行動を見つけていきたいからですね。

これは、我々が生きていくためには重要な脳の仕組みなわけです。そのおかげ、で我々は文明を発達させることができました。ビジネスも、より向上していくことができる。スポーツでも、それによってうまくなっていくことかできるので、行動を見つけていくために過去を僕らは認知して、過去を振り返ることはとても大切なんです。

 

ただ、しかしです、認知にはもう一つ大きな特徴かあって、そこにいろんな意味づけをしていくということがあり過去のことを見れば見るほど、人聞は心があるので当然なんですが、特にとらわれが起こりやすいです。揺らぎも、過去は変えられないので、変えられない過去を見れば見るほど、心の側面はどうしても後悔感というのが出てきてしまいます。すなわちNの感情です。どうしても揺らぎっていう状態が、そこに生じてしまうわけです。

僕らの脳は、放っておくと過去に行って、意味づいて、「ああしなきゃよかったなあ」とか、「なんであんなことをしてしまったんだろう」とか、「ああ、ああいうことがあったな」とかいうふうに、つい言ってしまいます。そのことは、僕らの心の側面からすると、間違いなくノンフローを生みます。

ただ、「過去ヘ行くな」と言っているのではないです。先ほど申し上げたように、過去を見て、僕らは行動の中身、ソリューションを決定していくことができるわけですから、過去を見たほうがいいと、認知も一つの役割を担っています。

ただし、心をフローで維持し、その過去を見て決定した行動の内容をより高いレベルで遂行していくためには、もう一つ「今」というひもを引っ張れるライフスキルが磨かれている必要があるわけです。「過去に行くな」ではなく、認知は過去に行きますが、心の部分のために、もう一つ「今」っていうひもを引っ張れる自分をつくりましょう。これが私の考え方です。

今というひもを引っ張っても、もう1秒後には過去だから、また「今」とやらなきゃいけない。いつも「今」とやらなきゃいけないので、みんな面倒くさくてやらないんです。だからとりあえず過去の中に脳みそを突っ込んでるか、過去のひもだけをいつも引っ張ってるんで‘す。いっぱい考えやすい材料があるから楽なんです。

 

■             過去は「認知の脳」に任せる

ライフスキルは、今、今、今……。今っていうひもを自分で引っ張るっていう感覚ですね。引っ張るというのは、今を選択しようと脳がするだけです。

「どこにひもがあるんだ」とか言う人がいますが、ひもなんかないです。ただ、「今に生きる」と考えるようにする。今を大切にする。今に全力。「今」っていうキーワードを増やして、脳を今っていうところに持っていくと、不思議と心は過去に持っていかれず、フロー化が起こってくるようになります。

今っていうところのひもを引っ張ると、今っていうところは意味がつきにくいのです。その瞬間、その瞬間、フロー化がますます起こってくる。ぜひ、今っていうひもを引っ張れるライフスキルの脳を磨いてほしいと思います。過去のことは認知に任せて、心の部分はライフスキル、「今に生きる」っていうものをスキル化されているといいですね。

 

イチロー選手の話題をいつもこのとき出すんですが、イチロー選手を、マスコミが「昨日は打てませんでしたね」とか、「今日は久しぶりに5打数0安打でしたね」って、過去ヘ、過去ヘ、引っ張ってきてノンフローにする。選手をノンフローにして、揺らぎととらわれを起こすのがマスコミの仕事です。しかし、それに一緒に乗って、「そうですね、マジ今回、最悪ですね」っていうイチロー選手を見たことないです。

まずそこで表情・態度・言葉は当然のごとく自分の心のために選択していますが、それと同時に、過去のひもをマスコミと一緒に引っ張って、「今日、マジ最悪でしたよ」みたいなふうにはなかなかいかないです。どうしてるかというと、「別に」っていう感じでしょうかね。そして、必ずこう言います。「今に生きるだけです。今に全力です。今に集中するだけですよ」という感覚のイチ口ーさんがいます。

 

一流のアスリー卜たちに会うと、だいたいこういう感じがありますね。

みんな「今に生きる」っていう共通したライフスキルを持ってます。練習して、磨かれています。どんな選手も、過去に行って、よりフローになるっていうことは無理です。すなわち、過去に行っても「揺らがない、とらわれない」なんでいうメンタルトレーニンクはなく、過去に行く認知の脳とは別に、今に生きるライフスキルを磨いているっていうふうに考えてください。皆さんも練習すればできます。

 

■             昨日は8万6400秒前の昔

今に生きるって簡単なようなんですが、「今」って言ってると、もう気づけば過去になりますから、また「今」ってやってないといけないので、常に今に生きるっていう感覚をやっていく必要があります。

よく笑い話で言うんですけど、例えば「昨日はさあ」とか言って昨日のことを振り返りながら意味づけして、それに持ってかれて、今この瞬間のノンフローをつくってる人がなんと多いことかと思います。昨日って、皆さん、何秒前か知ってますか。1秒を今だとすると、昨日って24時間で、8万64∞秒も前ですね。

「昨日のことを言って、揺らいで、とらわれて、ノンフローになってる人、8万6400秒も昔の話を今ごろして何してるわけ?」

今に生きるようになると、ほんと、そんな感覚です。1時間前も3600秒も前ですから。今、今って生きてると、僕らは常に新しいチャンスを得ながら、新しい無限の可能性の中で生きることができるので、今に生きるっていう力を養うことはとても大事だと思います。

 

もう一つ僕らは、認知の脳として、未来を考えるのがとても好きです。一番の典型的な例は、目標を設定して、Thing to do、計画を立てるということですね。我々はこの脳の使い方を訓練されてるので、目標を未来に立てて、するべきことを明確にして、期限を決めて計画を立てる。この脳は、未来に脳をはせてノンフローになるリスクの一つです。決して悪いとは言っていません。行動計画を立てていると、未来はわからないので、わから ない未来を見れば見るほどどうなるかというと、人聞には不安とか心配っていうNの感情が想起されます。あと、緊張とかもそうです。

 

■             分からないから揺らぎが起こる

未来のことを考えることによってあきらめが起こったり、未来のことを考えることによって油断が起こったり、我々の心の揺らぎにものすごく影響してるのが、この未来に対する認知の思考です。わからないものに突っ込んだら、誰でもが揺らぎが起こるっていうのは当然です。

イチ口一選手が未来のことを考えて揺らがないのではなく、イチ口一選手は未来のことは考えても、ライフスキルで「今に生きる」自分をつくって、フロー化を起こしてます。まさにいつも「心エントリー」してるからっていうことになるわけだけです。

イチ口一選手にマスコミが、「今年は本当に200本打てるんですか」とか、「今年こそ3割打てますか」とか、「いつまで大リーグで活躍できますか」と聞いてきます。いくら聞いたってイチ口ーだってわからないです。

わかんないものを考えたら、イチ口ーさんだって揺らぎが生じます。

そこで、イチローさんも未来のことを考えて行動計画を立ててるでしょうけれども、心を担保するためには、「今に生きる・今を大切にする・今に全力を尽くす」っていうことを脳が一生懸命にやるようにしています。マスコミに言ったら、「別に」っていう感覚です。また、わからないものについて語ったりしないです。「そうですね、いつまで活躍できますかね。わかんなくてチョー不安ですね」っていうイチ口ーは、まずいないと思います。

 

イチ口ーさんだって、考えたらノンフローになるからです。イチ口ーさんの中に自動的に養われている「今に生きる」っていうライフスキルの脳の仕組みが、未来の行動計画を立てた後、必ずと言っていいほど、今っていうところに自分を置いてます。

 

「今を生きると、今に生きるは、先生、どう遣うんですか」ってよく言われるんですが、「今に生きる」っていうことにしています。ライフスキルは外側の出来事に接着しては困るので、目的語がないほうがいいんです。

だから、「今を生きる」って言うと、なんか脳が外側に行って、「何かやらなきゃいけない」「やるべきことを考えなきゃいけない」っていうふうになりがちなんです。しかし、それは認知の話であって、ライフスキルっていうのは、あくまで「今、ここに生きる」みたいな感じを脳の中に持ち込みたいのです。なので「今を生きる」っていう何か目的語があるものよりも、「今に生きる」、at present right nowみたいな、「ここに自分を置きましょう」みたいなことを、ちょっと私の中では意識しています。皆さん、よろしければ、「今を生きる」ではなくて、ライフスキル的には「今に生きる」っていうふうにぜひ考えて、「今に生きる」っていう言葉を、ぜひ大事にしていただければなというふうに思います。先ほど英語で

at presentと言いましたけれども、まさに今っていう瞬間は最高のプレゼン卜です。

誰にでも平等に与えられている最高のプレゼントこそ今なので、英語でもpresentって言うんじゃないかなと思ったりもしています。

 

我々はなぜ今に生きにくいのかというと、この認知の脳の仕組みが過去や未来に行かせるっていうことなんです。もう一つ私がこういう話をしているときにいつも「そうだなあ」って思うのは、我々は明日があると思ってるから、今を大切に生きられてないんじゃないかなって、すごく思います。明日があるっていうのは、人間にとって希望で、極めて重要な考え方です。

ただ、「明日があるさ」っていうことと、「今は二度とない」っていうことは別なんです。しかし、我々は「明日があるさ」っていうことに安住して、「今は二度とない」っていうことを忘れているんじゃないかなって、いつも感じます。

あなたがどんなに若くても、今この瞬間という瞬間は、もう二度とないわけで、どんなに後でビデオを見て、どんなに後でオーディオを聴いても、それはそのときの話であって、「今この瞬間っていうのはもう、いつも二度とないですよ」という話です。

 

■             今に生きることはフロー ?

この例をわかりやすくするために、大学の体育会の例をいつもお話しします。よく4年生が「今年は最後だ」って言っています。「最後の年だから頑張るぞ」って、4年生は大抵みんな言います。だけど、1年生も今年は最後なわけです。全員、今年はいつも最後です。4年生だけが今年が最後なんてことはないので、いつも、どの瞬間も、みんな最後です。

1年生も今年が最後だってわかっている1年生が多いチームは、だいたい強いです。ところが、だいたい2年生や3年生ぐらいは、「まあ、来年があるさ」みたいなふうに思って、今年が二度とないということを忘れながら、ちょっと揺らいだり、とらわれたりして、ノンフローになって、認知に支配されてしまうっていうケースがたくさんあるように思います。

「明日があるさ」は我々人聞の人類にとってとても大事な希望ですが、それとは別に「今は二度とない」っていうふうに考える。これも今に生きるっていうライフスキルを磨く脳の使い方の一つです。

今は二度とないと考えましょう。それだけで、ややフロー化が起こります。過去や未来に認知が行ってるのから戻すことが可能です。

 

今に生きる力を養うための方法は幾つかあるんですが、一つは、「今」っていう言葉そのものを増やすことです。私がメンタルトレーニングをして、日本一に4年連続で輝いたNECのラグビ一部があるんですが、キャプテンがこの「今に生きる」っていうライフスキルを非常に大事にしようということで、11日100回『今』と言う」っていう練習を、みんなでしてました。まさに腹筋と一緒ですよね。「腹筋やろうぜ」って言っててやらないのと、実際に腹筋100回やるのは全然違うわけで、「今に生きたほうがいいよ」って言いながら「今」って言ってなかったら駄目なので、「今」「今」「今」……って、1日100回ぐらい言うっていうのをやっいました。

そしたら4年目の日本選手権の決勝で東芝とやったんですけれども、最後ずっと押し込まれて同点になって、やっぱり選手の思考が未来に飛びそうになりました。しかし、キャプテンと後で話したんですが、彼らはその中で「もうあの瞬間は、気づいたら終わってた。気づいたら、僕らは最高のプレーをしていた」そうです。その瞬間はまさにフローを越えたゾーンに近い状態だったんですけど、もうずっと「今、今」って唱えてたそうです。それは、日ごろからやってたから、ああいうときに自然になんか「今、今、今」っていう言葉が出てたんだっていうような話をしてま した。まさにいい例だなと私は思います。

 

急に試合の大事なときになってから、「今、今」と言ったって、普段スリーポイン卜(シュー卜)の練習をしてないやつが、急に試合でスリーポイントを打つのと一緒で、普段から言っていないと「今」っていう脳がスキル化されてない。解剖学的には脳の中にシナプスが形成されてない状態で、急に「今って考えなきゃ」っていうと、普段やったことのないことをやるので、また揺らいでしまうことになり得ると思います。NECのラグビ一部が、「今、今」と言ってライフスキルを磨いていたのは、一つの典型的な例ですね。

 

もう一つは、今っていうことにかかわるさまざまな文章ですね。『SLAM  DUNK』で言えば、「俺は今なんだよ」っていう名言が、あります。これは2年ぐらい前に早稲田のラグビ一部のメンタルトレーニングをさせてもらったんですけども、部室にあの『SLAM    DUNK』の「俺は今なんだよ」っていうシーンがデカデカと、貼つでありました。ちょっと大きな声では言えませんが、著作権に違反しながらも、大変大きく部室に、まあ学生ですから許されますけども、貼ってたっていうのを思い出しますね。

「俺は今なんだよ」

今っていう言葉にまつわるキーワードをたくさん持って自分に語りかける。これが今に生きるっていうことをつくるにもいいです。ですから、「今に生きる」「今に全力」「今に集中」「俺は今なんだよ」とか、あとは「過去より今」とか、「未来より今」。「未来より今」って言い聞かせるのも悪くないです。とにかく「今」っていうことに脳を夢中にさせることがすごく重要です。

 

■「今に生きる力」を養う

今に生きられるようになると、だいぶ心は常にフロー化してくるようになります。また認知で、「じゃあ、今するべきことは何なのか」って考えたときに、過去を振り返りながら、するべきことを見つけられるようになります。また、目標を立て計画を立てながら、するべきことを見つけるために認知の脳がうまく過去や未来を利用していくことができるようになると思います。

私は、まず、やっぱり今に生きる力をしっかり養い、認知によって行動の中身を決定するために、過去や未来を逆に味方に付けていく感覚ができたらいいなと思っています。ただやみくもに過去と未来に行ってしまうと、行動の内容は決定しますが、心は持っていかれてしまう。逆に「今に生きる」っていう力をつけて、心の状態をいつも整えることができる心工ントリーな生き方をしながらも、過去や未来を味方につけていくために認知の脳が働くことが、非常にライフスキルと認知の脳がバランスのいい感覚っていうふうに私はとらえています。

 

今っていう言葉をただ繰り返す。今っていう言葉にまつわる文章をたくさん持って、それを言うようにする。そして、この瞬間、この瞬間、自分たちが二度とないんだっていうことをよく理解するっていうことを考えて、今は二度とないって考える。こんなことが今に生きる力を養っていく練習方法かなって思います。実際には、その今っていうひももないですので、こういうような脳の使い方を利用しなからやるしかないなと思います。

 

■             車いすパスケ選手の思考力

あと、私が、今に生きるっていうことをすごく学習させられることがあります。2回ほど私は車いすバスケットボールについてパラリンピックに行ったことがあります。そのときに知り合った選手たちと、車いすバスケットボールのチーム名を「Noexcuse」っていう、「言い訳せず、自分の心は自分で決めていこう」っていうチーム名のあるチームにかかわらせてもらうことができたんです。そのパラリンピックや、そのチームとの交流で私が非常に気づいたことは、車いすの彼らが、むちゃくちゃ今に生きるっていう力か‘高いことですね。

当然、みんないろんな事故か病気で障害者になってるんですけれども、一番多いのは交通事故です。「あのとき、あいつの車に乗らなきゃよかった」っていくら考えたって、もうマヒした足が動かないことは、よくわかっているんです。「なんであいつの車に乗っちゃったんだろう」っていくら言ったって、動かない足、マヒした足、車いすになってしまった状況は変わらないので、彼らはもう、今に生きる力はむちゃくちゃ高いです。「高校時代のおれの何が悪かったから骨肉腫になって切断することになっちゃったんだ」っていくら言っても、切断した足は生えてこないからですね。もう彼らはむちゃくちゃ今に生きる力が高いなって、パラリンピックに行ったりして一緒に交流すると、すごく思います。

 

過去をいくら振り返っていてもフローになれないっていうのを、もう体感してるんです。そして過去に起こっ た出来事を無理やり意味づけして、「これも何かの意味があるんだから、よかったことなんだ」とかするんじゃなくて、ただ、いつも今に生きて、自由を謡歌してるっていう感覚です。もちろん障害を負ってしまった事実は変わらないですけど。

 

あともう一つ、例えば僕が車いすバスケットボールのパラリンピックに行ったときのキャプテンは元jリーガーで、しかも結婚しようとする直前に、事故ってしまって下半身不随になっちゃったんです。気づいたら病院のべッドの上で「下半身不随です」って言われてしまって、先のことをいくら考えていても、人生いきなり何が起こるかわからないというのを、もう身をもって接している感じがします。

 

もう一人私のチームにいた選手で、高校時代、野球で甲子園に行っているんです。プ口からもドラフ卜が、かかっているのにもかかわらず、春休みかなんかに友達の車に乗って事故っちゃって、もう下半身不随で、ドラフトもナシですよ。もう彼なんて本当に将来嘱望されてたのが、いきなり何かが起こるわけです。

2011年の3.11でもそうですけども、いきなり何かが起こるわけです。だから、いつでも今に生きてないと、後悔したりしていくわけです。それが、「自分だけは何も起こらない」って、みんな勝手に勘違いしてるんです。なので、とにかくどんなときも今に生きるっていうこと、今は二度とないわけで、今に生きるっていうことをやっていかないと、本当に自由を誼歌して自分らしくフローに生きていくことは難しいなってつくづく思います。

 

いろんなライフスキルはありますが、最も私がスキル化したい、スキル化している、最も頻繁に使って自分のフロー化を起こしているライフスキルと言えば、やっぱりこの「今に生きる」っていうことだと思います。

パラリンピックに行ったり、障害者の彼らと接する機会があります。彼らはスポーツを通してそういうライフスキルが培われて、本当に我々よりもフローで元気に生きているわけです。なかにはやっぱり、障害を負って、いまだに過去のことにとらわれ、未来の心配をして、ノンフローになって、生き生きと生きられてないという障害の方がいらっしゃるのもまた事実です。貴重な体験をさせてもらっていますが、少なくとも私が.会ったパラリンピックに行くようなアスリー卜たちは、間違いなく、「今に生きる」っていう力が極めて高いなというふうに思いました。

 

私の知り合いに車いすバスケットボールの選手たちがいるので、子どもたちと接して、子どもたちと触れ合うことで、今に生きることの大切さみたいなものをお互いに共有していこうなんていうイベントを何回かやりました。「やっぱり今に生きることは大切大切だよね」ってやったりもしたんですが、実は、子どもって今に生きる力、非常に高いです。先のことを考えるよりも、この瞬間にいつも夢中になってるので、お母さんはいつも「早くしなさい、早くしなさい」って言います。だから、だんだん大人になるのに従って、この「今に生きる力」が弱くなってくるような気もします。それは認知が、たけてくるからただと恩うんです。そして過去を 振り返って、反省会をしながら、未来のことを考えて、目標を立ててっていう構造になるので、だんだん「今に生きる力」が弱まってくるような気もします。

 

■             謝れる人は過去を手放せる人

もう一つ、今に生きるっていう力を養うために私が皆さんにお勧めしていることの一つで、「謝り許す」っていう ようなことを皆さんでやるようにしてます。

結局、謝れないっていうのは、そこに認知の脳が盛んに働いて自己正当化をしていくわけですけれども、それはそれでいいんです。謝れずに何か自分の中で引っ掛かっていることをみんな持ってるんです。気楽に謝っていくことのできる人っていうのは、逆に過去を手放していくことのできる人で、今に生きやすいなと思います。謝れずに自己正当化することで何とか自分を認知の脳で‘保っているものの、過去にとらわれている人はたくさんいます。

いつもこの「誤り許す」っていう練習を僕のワークショップなんかではやります。自分が何か、本当は謝ったほうがいいなと思いながら謝れずにいるのを、何の理由もなく、とにかく、どっちが正しいとかそういう議論をするのではなく、「自分が、過去を手放すためにも謝り許しませんか。『謝る。ごめんね』って言っておきませんか」っていうワークをします。「ええっ」とかなりながら、じゃあ何か気になっていることがあって、昔のこういうことでとか、お父さんにとか、「ごめんねって言ってこよう」みたいな。

 

言う前はむちゃくちゃ嫌な感じがしますね。認知が抑制するので。いろんな意味がつくからですよね。「絶対向こうのほうが悪いに決まってんじゃん」とか、「あのときはおれのほうが正しかっただろう」って言うんですけど、それが、どっちが、正しかったかを証明するディベー卜をしてほしいわけではないです。「そのことを気にしながら、今もしょい込んでいるあなたはどうなんですか」っていうことを言いたいわけです。そういう過去の自分が気になっていることを手放すためにも、気楽に「ごめんね」って謝る。許すっていうのは、別に相手に面と向かつて「許すよ」とか言う必要はないんです。まず「ごめんね」って言えることが、すごく過去を手放し、肩の荷が下りていく感じがします。

 

■             日本人が持っている許す力

許せるっていうのもまさにそうで、根に持ってるっていう人は、根に持たれている人よりノンフローですから。間違いなく、根に持っている人がノンフローですから。もう声を大にして言いたいです。過去に生きて根に持っているあなたがノンフローだっていうことを、よく覚えていてください。根に持たれる人ではないです。

許せる力のある人は、「今に生きる力」が非常に高いです。それはなぜかというと「認知で許すか・許さないか」ではなく、許しているほうが自分が気分がいいからっていう、この「今に生きる」につながっている「許す」っていうライフスキルを持っている。

 

日本人は、「許す力」が非常に高い国民だと思います。例えば、それこそ原爆を落とされたアメリカを日本は許してます。原爆を許してないですよ。原爆は許してないです、その行為そのものは。しかし落としたアメリカを今でもうらんでることは、あまり日本人はしてないですよね。そのおかげで日本は繁栄してるんじゃないかなって、すごく思います。いまだに過去の戦争にあったことをうらんでる、ほかの固もありますよね。繁栄しにくいです。

 

もちろん、悪かったことは悪かったというふうに言っていかなきゃいけませんし、悪いことは悪いと追及はしていくわけで、「何でも許せ」と言ってるのではないんです。根に持つぐらいなら、その人そのものは許して、解放されて生きてたほうが、「あなたはフローじゃないですか」っていうご提案です。

 

許すっていう練習もしてみてください。「なんか許せねえな」って思っている人を、「許す」って言ってみてください。根に持っていることがあったら、「ごめんね」って言ってみてください。すごく手放される感覚があります。

そしてそういう体感をしたら、日ごろ、気楽に「ごめんね」って言っていく自分をつくりましょう。気楽に許すっていうことをやっていく自分をつくりましょう。謝り許すことができるようになっていくと、「今に生きるっていう自分」が確実にやってくるというふうに私は思っています。これも、「今に生きる力」をはぐくむ一つの方法論かなっていうふうに思います。

 

■             自由を誼歌しフローに生きる

今に生きるっていうことの価値を言えば限りはないです。僕らは放っておけば、何回も申し上げるように、過去や未来っていうところに行きます。しかし、今この瞬間に生きるっていう自分をつくれるようになると、我々は自由を謡歌し、フローに生きていけることになります。そして、今に生きるっていうことの脳の仕組みを練習するために、今申し上げたようなヒントを意識しながら、ぜひやってみてほしいなと思いま す。

一番シンプルは、とにかく「今に生きる」と、何回も何回も一日中考えることです。今に生きると考えているだけで、皆さんの心の状態にフロー化の変化が起こるようになります。その体感が、必ず皆さんのライフスキルをより強化し、いつでも今に生きられる自分がつくられるようになります。

 

「今に生きるようになると、過去や未来が見れなくなるんじゃないですか」っていう質問をされることも多いですが、絶対大丈夫です、認知の脳がなくならない限りは。これはいつも申し上げる話ですけど、ライフスキルを強調すればするほど、認知の脳が否定されるような感覚を皆さんお持ちなんですが、私はそうは言ってなくて、認知の脳はちゃ んと働きます。それとは別の「ライフスキルっていうものを持ちましょう」っていうのが私のモットーですし、私はライフスキルの先生なので、ライフスキルを磨けと言っているだけで、認知の脳がなくなるっていうことはありません。

日本語ペラペラの人が、外国語を勉強したら日本語を忘れるっていうことは、ほぼないです。というのと同じで、

「新しい脳の使い方を学習していく」っていう感覚が、私がやりたいことなので、ぜひ皆さん、「今に生きる」ってい うライフスキルを徹底的に磨いてもらいたいなというふうに思います。ぜひ、今に生きてもらいたいなと思います。

 

質問

過去や未来っていうのは、決して外部の世界ではないとは思うんですけれども、感情を切り離すっていうことが大事だと考えたほうがいいですか。とらわれないっていう意味で。

 

感覚的には、心と行動を切り離すことです。心の代表は感情だからなんですけど、感情っていうのはなかなかコントロールできないので、心っていう部分と行動を切り離すのは、このライフスキルトレーニングの基本的な考え方です。行動をつくるためには、過去を分析して、ソリューションを出す。未来を考え、目標から行動、計画を立てる。行動のためには、過去や未来っていうのは大いなる参考材料。だけれども、心っていう側面からすると、過去や未来はとてもリスクを負うので、認知だけに任してる人は、どうしてもノンフローのリスクはすごく高い。それを無理やりポジティブ・シンキンクをやったり、不快対策思考で何と     か保とうとしています。でも保ちきれないので、みんな酒を飲んだり、タバコを吸ったりして、体が悪くなっていったりするわけです。

認知の脳とは別に心の部分を担保できるように、心の部分を外側の出来事や認知とは関係ないレベルでフロー化を起こすっていうライフスキルが磨かれてる人は、心は心、行動は行動。別々につくる。両々を自分でつくり出すことができるっていう脳の仕組み、すなわちライフスキルが磨かれていれば、心と行動は分けて考えることができますよっていう会話がまかり通るようになるわけです。

ところがライフスキルが大抵の人は磨かれてないから、認知の脳でごちゃ混ぜになって、行動、心、行動、心っていうのが、もう訳わかんなくなっちゃってて、ノンフローの人が多いですよっていう感じです。

 

今に生きてないっていうのは、気が散ってるっていうことです。今ここに僕らはいるのに、「今ここにいない」ってことです。

認知脳は、今ここにいないようにしようとしてしまうのです。

 

話を聞きながら、「昨日、こうだったな」となったら、もうここにいないんです。そうすると絶対、話を聞くというパフォーマンスが落ちて聞き漏らすんです。なので、みんながなんか聞いてるふりしたりしてますけど、今ここにいないで何かやってるから、聞き漏らしたり、パフォーマンスを落としているケースがすごくあるわけです。だから、今ここにいれるようにしていくのは、脳を鍛えないといけない。今っていうひもを引っ張れる自分をつくらなきゃいけないのです。

 

 


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