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フローマインド2    心エントリーな生き方 

2021.04.27

「心エントリーな生き方」    =辻秀一メソッドより=


心エントリーというのは耳慣れない言葉なので、どんなんだろうと思うかもしれません。心という言葉は、聞いたことがあると思いますし、「エントリーする」は、そこから始める、というような感じでしょうか。

心エントリーというのは、一体どういうことなのでしょうか。一般的に我々が日々の生活の中で考えている「生き方」は何かというと、結果エントリーな生き方、結果エントリーな世界、結果エントリーな社会構造、結果エントリーな日常生活です。

どんなことかというと、いつも結果を出すためにどうしたらいいかということを考えている生き方ですね。結果を出さなくてはいけない。なぜ結果が出なかったんだろう。じゃあ結果を出すためにはどうしたらいいんだろう。どのようなことをするといいんだろうということで、「things to do」を考えたり、目標をより明確にしていくことを考えたり、さらには期限を決めたり、なぜ目標を達成しなきゃいけないんだろうかというような理由を考えたり、その結果、目標、成果、そういうものを中心に我々の生活は組まれています。

 

小さい子どものころはそうでもなかったことが、小学校で教育を受ける頃から、だんだん我々の考え方、生き方は、結果エントリーな方向へ、結果エントリーな方向へとシフトしていくというふうに、私は考えています。

 

皆さんがいつも考えていることは、どうでしょうか。「どうやったらうまくいくかなあ」とか「どうやったらいい 仕事ができるかな」とか、「どうやったらスポーツで勝てるかな」とか、「どうやったらオリンピックに出られるかな」とか、「どうやったら儲かるかな」とか、すべてそういう脳の使い方は結果エントリーですね。そして、そういう結果エントリーな世界の中で結果を出すためのいろいろなノウハウというものが、書籍に出ていたり、いろいろな指導として行われているのも、また事実です。決してそれは悪いことではないと思います。

 

私の専門にするスポーツ心理学、このスポーツ心理学をいろいろな分野に生かしていこうという「応用スポーツ心理学」の立場からいうと、「結果を本当に出し続けている人」というのは、実は結果エントリーではなくて今日の大きなタイトルになっている心エントリーな考え方、心エントリーな生き方をしているんだというようなことを、今日 は皆さんに声を大にしてお伝えしたいなと思っているわけです。

 

『宮本武蔵は心のあり方を追求した剣豪』

まず最初に私が思い出す「心エントリー」、心を大事にして結果を出した人といって思い出すのが、日本人では宮本武蔵さんでしょうか。宮本武蔵は「天下無双」という結果を求めていました。天下無双というのは、天下にまたとないですから、要するに、日本一ですね。日本一の剣豪という結果を目指して、彼は最初何をしていたかというと、技術を磨く。そうすれば天下無双になれるということで、いつもめった切りしながら技術を磨いて道場荒らしをして、天下無双を目指していたわけですね。

 

ところが、いろいろな出会い、沢庵和尚との出会いだったり自分自身を見つめることの中で、本当に天下無双を手に入れている本物の剣豪たちは、実はそうじゃないんだということに彼は気づいていく。その中でどう気づいたのか。

 

つまり、本当に天下無双という結果を出している人は、天下無双にふさわしいパフォーマンスを出せる人、天下無双にふさわしいパフォーマンスを出せるにふさわしい人になるべきである。そのふさわしい人は何で構成されているかというと、すなわち心で構成されている──というふうな、ちょっと哲学的な感じがしますけれども、考え方に至ります。そんなことが書かれているのは、まさに『五輪書』ですね。『五輪書』は天下無双になるための人間としての生き方が主に書かれていますが、特に「水の巻」の中には心のことが書かれています。

 

私のテーマになります「フロー」という考え方の原点みたいなことが書いてあります。一言で言うと、フローというのは、「揺らがず・とらわれずというような心を大事にしていくことなんですけれども、 その宮本武蔵の「水の巻」の中には「揺らいでとらわれては人は死ぬ」と書いてありますね。つまり、常に「揺らが ず・とらわれず」な心の状態をまず作っていないと、死んでしまうわけです。最高のパフォーマンスが出せないから。 日本一になりたい、なりたい、なりたい──と結果を求め続けていて、実は揺らいでとらわれて、心が後回しになっ  てパフォーマンスが落ちて結果が出せていないという人が、世の中にはいっぱいいるわけですね。

 

宮本武蔵もそうなりそうになっている時に、天下無双になるには、いったい本当にどうしたらいいんだろうか、というようなことの中から、心のあり方、心をまず大事にするあり方、すなわち「心エントリーなあり方」というのに  気づいて、それを一つひとつどうやったら心の状態をよくしていけるのかということに人生の中で気づいていくのです。

 

『イチローが打席で同じしぐさをする本当の理由』

実際に結果を出し続けている皆さんがご存じの日本人と言えば、イチローさんでしょうかね。2000 本安打を大リーグに行って打ち続けていました。彼も結果を出していますけれども、やっぱり彼の言動を見ると、スポーツ心理学の分野からいっても、まず良い心の状態を作るんだということにとても注力しているように思います。皆さんご存じの、彼のバッターボックスでのルーティンなんかも、ああいうルーティンをしているほうが自分の心の状態がまずフローな方向へいく。「揺らがず、とらわれず」な方向にいくから、ああいうルーティンを持っているんですね。

縁起をかついでいるのではないです。縁起こそ結果エントリーな人のやり方ですね。「縁起をかついでうまくいく」となると、ちょっとうまくいかなくなると、もうそれは縁起をかつげなくなっちゃうので、また新しいことをやらなきゃいけなくなりますよね。

 

たとえば、球場に右足から入る。グラウンドに右足から入ったら、その時はよく打てたんだということで、縁起をかついで「俺は右足から入る」というやり方は、もう結果のことを考えている。もし打てなかったら、もう右足から 入るということはできなくなるので、じゃあ今度は左足から入らなきゃいけなくなりますね。

左足から入っていると今度は打てなくなるので、じゃあどうやって入るのかということになってきて、結局、「揺らぎととらわれ」がどんどん起こる。縁起をかつぐというのはまさに結果エントリーで、彼(イチロー)の場合はそういうルーティンをやっているほうが自分の心の状態がフローになる、揺らがず、とらわれずになるから、自分の心の状態が安定するからそのルーティンを選んでいるんですね。

彼が右足からグラウンドに入るかどうかは分かりませんが、右足からグラウンドに入るほうが俺の心が安定するから、右足から入るのであって、そこでどんなヒットが打てるかどうかは、その次ですよね。でもまず「心の状態が安定する」ことによって、パフォーマンスが安定する。なので、結果が出やすいというこの構造。

 

心があって、パフォーマンスが起こって、そして結果を作り出す。そういう生き方を心エントリーというふうに呼んでいます。

ほとんどの人はまったく逆です。結果のことを気にしながら、パフォーマンス、「何したらいいんだろう」と考えて、気づけば心の状態はストレスで揺らいでとらわれて、だんだんパフォーマンスの質が落ちてきて、結果が出にくくな る。

 

でも、結果は出さなきゃいけない。パフォーマンスを上げなきゃいけない。何しなきゃいけない。無理矢理ポジティブシンキングで考えたりしながら頑張ってるんだけど、実は心はいつも「苦しい」という構造になります。そういう人がやっぱり一発、まあなんか結果は出るかもしれませんけど、人生って長いですから、人生の長い中で自分が思うような結果を出しながら、そのプロセスも充実していくというような人生は、結果エントリーな生き方ではなかなか難しいというふうに思います。

 

『心を大事にするとはどういうことか』

もう一人、日本人で結果を出してるんだけど、「心エントリー」してるなあと思う人は、将棋の羽生善治さんです。将棋の羽生さんは、まあ天才と言われて記憶力も分析力も、我々凡人とは違うところがあります。もちろん、イチロー選手のバッティングスキルも、我々凡人とはたぶん違うでしょうし、宮本武蔵の剣術も我々凡人とは違うんですが、実は我々が誰でもがまねすることができるのは、彼ら共通の「心のためにどんな生き方をしているのか」という部分。そこが我々がまねできるところだし、パクれるところだと思うんですね。

羽生さんはまさに天才的な記憶力と分析力がある中で、実はそういう脳の機能を惜しげもなく出して、「永世名人」になったりいろいろなタイトルを取っていく時のパフォーマンス、彼の場合は体のパフォーマンスというよりは脳のパフォーマンスですね。脳の パフォーマンスを日本一にしていくためにも、まず心の状態をしっかり作らなきゃいけないというようなことを、すごく大事にしているなというのを、インタビューをすると思いますね。

どんな時でも、インタビュアーが「どんな戦略をいつも考えるんですか」と言う前に、「とりあえず一生懸命やるんです」というような答えを出してきたり、「いや、一生懸命やるだけですか。えっ、そんなんでいいんですか」と インタビュアーが言うんだけども、羽生さんは結局、一生懸命やっているほうが心が安定して「フロー」になるので す。まずそういうことを大事にすることを、心エントリーとして持っているわけですよね。

 

戦略的な将棋の話を、そこでつべこべ言ってもみんな分からないし、でもインタビュアーは何か、羽生さんというのは僕たち普通の人では考えない、特別な何かを考えることを言ってほしいんですけど、「いや、ただいつも、まず一生懸命やるだけですよ」とか、「結果のことよりも、チャレンジしていつも自分がとらわれないような心を作り出す」みたいなインタビューをします。羽生さんとインタビュアーとの駆け引きが食い違っていておもしろいなと思いながら、それは結果エントリーなアナウンサーがスキルを引き出そうとしている中で、心エントリーしながら、心のための脳の話をしている羽生さんとの違いだなと思います。

 

何はさておき、心を大事にした生き方ですね。大抵の人はみんな「心を大事にする」と言っているんですけど、心って見えないし、触れないので、普段の生活の中ではみんな気づかないわけです。

人間というのはやっぱり五感を通して、「見える」とか「触れる」で存在を感じるので、目に見えないものをつい大事にしにくくなるし、「目に見えないもの」といった瞬間、人によっては怪しいと思う人もいるし、いきなり「目に見えない」と言った瞬間、「スピリチュアルですね」みたいなところにまでいってしまう人もいるんです。

 

【パフォーマンスを引き出す心の三大法則】

人間には心の状態というのが必ず存在している。心が存在しているかどうかは、分かりませんけれども、心の状態が存在しているというのが、すごく大事だと思うんですね。

解剖の本には、心がどこにあるかということはどこにも書いてありません。だから触れるわけではないし、見えるわけではない。でも、存在としてはあるわけです。

私はいつもそういう意味を込めて、「心の三大法則」という話をしています。心エントリーの人は、今から言う心の三大法則というのをすごく理解しています。法則として、自分の   ものにしているというふうに言ってもいいでしょうか。

法則なので、大事なことは人、時、場所に例外なしです。「俺だけは違う」とか、「夜は違う」とか、「大阪行ったらちゃうで」ということは一切ないということです。いつもその例を言う時に、見えないけれど、僕らは法則をたくさん持っています。

 

例えば、重力です。重力は見えないけど、私たちをいつもこの法則でしがみつけてますね。私たちは普段は意識しないけど、でもみんな熟知してますね。物が落ちて焦った人はいないですよね。それはどうしてかというと、「おっ、な んか手品か!?」とか言わないですよね。「物が自然に落ちた!ヒモでも付いてるのか」って言わないですよね。みんな当たり前だと思ってます。それは見えないけど法則だと、 私たちは熟知しているからですね。そして、この法則は誰でも当てはまりますよね。「俺の家だけ物が落ちない」とか、「うちの会社は物が落ちにくい」とかないし、「大阪だけ物は落ちひんで」ということはないわけです。なので、法則ですよね。

というようなことが法則。見えないものとして、僕らは法則を持っている。ということで、心の法則を今から3つ、お伝えします。

 

一つ目。

「人には心の状態が存在する」です。

心が存在するということは、私はちょっとよく分かりません。さきほど言ったみたいに見えないし、触れないので。ただ、状態は誰にでもいつでもどこにでも存在しています。

 

すべての人に、今この瞬間、心には状態があります。何かしらの状態は、常に存在しているということですね。自分では気づいていないだけです。まだ重力の存在を知らずに生きて いるようなものですね。心の状態は常に存在している。

 

極端なことを言うと、寝ている時も心には状態があります。自分では気づいていないだけです。だから朝起きて、「なんか悪い夢見たなあ」みたいな、寝ている間の心の状態に揺らぎやとらわれがたくさんあるからですね、それは。でも自分では気づいていないだけで、存在、心の状態としての存在は24 時間あります。

 

A さん、B さん、C  さん、D  さん、例外なし。大阪、北海道、九州、福島、仙台、東京、例外なしです。会社の社長も野球の少年団も、ミニバスの子どももお母さんも大統領もプロ野球選手も、イチロー選手も羽生さんも例外な しです。心には状態が存在する。

 

2つ目は

『心の状態はフローかノーフローのどちらかしかない』

世の中には心を研究している人がた くさんいらっしゃいます、心理学者として。心理学者の方々は、心はとても複雑で、ですから学者になってその心を 一生研究されているんですけども、私はそのスポーツ心理学から出た応用スポーツ心理学を使った実学者なので、研 究者ではないので、非常にシンプルです。

 

私の考え方は一言でいうと、たったこうです。

「心の状態は大きく分けると、フローっぽいか、ノンフローっぽい か」。これしかありません。極めてシンプルです。フローっぽいか、ノンフローっぽいか、しかないんです。それは0、1。1か0ではないんです。ノンフローっぽいか、フローっぽいか、という。

 

心に矢印みたいなものがついていて、その心の状態があるということは、必ず心に矢印があるわけですね。右のほうにその矢印がふれていくと、よりフローになっていくわけです。真ん中から左のほうにその矢印がふれていくと、よりフローになっていくわけです。真ん中から左のほうにその矢印が触れていると、ノンフローになっていくということです。

 

ノンフローになるというのは、揺らぎととらわれが起こっていくということですね。フローな方向にいけば、「揺らがず、とらわれず」な方向にいくということです。私たちは朝から晩まで24 時間、このどこかにあります。すごいフローな人からすごいノンフローな人まで、どこかでいつも生きているわけですね。

 

簡単に述べると、フローというのはずっと追求して「揺らがず・とらわれず」をもっともっと追求していると、皆さんがよく聞いたことがある「ゾーン」という領域に入ります。究極の「揺らがず・とらわれず」の状態が、よく言うゾーンですね。スポーツ選手なんかもゾーンを求めていたりします。しかし、このゾーンというのは、基本、自分ではつくって入ることができないです。フローな領域で生きていると、ゾーンがやってくるというふうな感覚です。ですから我々一般人はだいたい、そのフロー、まあそこそこフローな状態からかなりフローの間で揺れ動いているということでしょうかね。フローに関してはですね。

 

スポーツ選手でゾーンを体験している選手は、「ゾーンに入ろう」と揺らいでいる人がいるし、「ゾーンに入れない」でとらわれている人もいっぱいいます。ゾーンは入れないです。フローをつくることによって、ゾーンがやってくるという感じでしょうか。

 

【フローの最大の敵はストレス】

ノンフローはどんな感じか。揺らいでとらわれている感じですね。機嫌が悪い感じでしょうか。揺らいでいる感じというのは「いやだなあ」とか、「面倒くさいなあ」とか、「イライラするなあ」とか、「ウザイなあ」とか、なんか、そんな揺らいでいる感じです。とらわれている感じというのは、自分の過去の勝手な思い込みによってとらわれている感じです。まだやったこともないのに「ムリ」とか、まだやったことがないのに、過去の経験で「難しい」とか、私たちはいろいろなことでとらわれていきます。過去の経験に縛られて、とらわれている状態。これが、「ノンフロー」です。

 

スポーツの試合で、「お前ら、今日ミス多いから、このあとミスするなよ」「お前ら、ミス、今日超多いから絶対ミスするなよ」「お前ら、今日ミスしそうだから、絶対ミスするなよ」といわれると、とらわれます。次のプレーでのミスの確率は、格段に上がるのです。

 

これが人間の宿命です。なので、とらわれると人間のパフォーマンスは上がりにくくなるという感じです。私たちはこんな感じで、いろいろなとらわれを持っています。

このとらわれの状態、揺らいでとらわれている状態が、僕らにとってみるとストレスな感じです。そして、このストレスがずっと続いて、ノンフローがずっといくと、それの究極、もっとも悪いのが鬱でしょうかね。英語で言うとデプレッションです。デプレと言います、

 

私たちの心の状態は常にこのデプレからゾーンまでの間にあるということです。デプレとゾーンと言っちゃうと究極なので、私はノンフローでいるか、フローでいるか、というふうにとらえています。極めてシンプルですね。機嫌がいいか、機嫌が悪いか、どっちかでみんない つも生きてますよという話です。機嫌のいいほうをフローと言って、機嫌の悪いほうをノンフローと言うと。これが 2番めの法則です。心にはフローっぽいか、ノンフローっぽいかしかないですね。

 

【パフォーマンスを上げる唯一の方法】

3つ目は、

「フローに傾けば人間のすべてのパフォーマンスはエクセレンスになる」

「心の状態が人間のパフォーマンスの質を常に決定」していきます。どのように決定していくかというと、フローな心の状態であれば、その時何をしていたとしても、その時のパフォーマンスはいい方向へ行くという法則です。「いい方向に行く」というのを、私な好きな言葉で言うと「エクセレンスな方向へ行きます」。心の状態がフローであれば、エクセレンスな方向へいく。心の状態がノンフロー、すなわち揺らいでとらわれて機嫌の悪い状態でいれば、どんなパフォーマンスをしていても、そのパフォーマンスはエクセレンスな方向には行きにくい。ノンエクセレンスな方向へ行くという法則があります。人、時、場所に例外なしです。

人事の仕事もそう。経理の仕事もそう。企画の仕事もそう。営業の仕事もそう。SEの仕事もそう。技術開発の仕事もそう。すべてのパフォーマンスは、人がやっている以上、この法則があって、後ろ側にある心の状態が我々のパフォーマンスのエクセレンス度合いを決定しています。

 

たとえば、今は部署ごとの話をしましたが、スポーツでも同じです。野球でもバスケでもサッカーでもバレーボールでも、ゴルフでも水泳でも剣道でも、どんなものでも同じです。やっている内容に関係なく、その時のパフォーマンスの質はこの心の状態で決定しています。

 

バスケで言えば、ディフェンスをしている時も、ドリブルする時も、リバウンドの時も、シュートを打っている時も、ベンチにいる時も、みんなこの法則が当てはまります。なので、私がやっているこの応用スポーツ心理学は、もうあらゆる人に汎用的に使ってもらっている、というふうに私は考えています。

 

バイオリンも同じ、チェロも同じ、ピアノも同じです。すべてどんなことをやっていても、その時の心の状態がその時のパフォーマンスの質を決定し、エクセレンスな方向へいくか、ノーエクセレンスな方向へいくかを決定していま す。

 

この法則がしっかり熟知されていれば、いつもこの心の状態に気づいて、心の状態をエクセレンスな方向、フロー な方向にいき、パフォーマンスをエクセレンスな方向にするということを、すごく心がけるようになるんです。でも、ほとんどの人はすぐ忘れています。

 

私の話を聞いて、「そうだ」といって、帰りの電車に乗っている頃からもう忘れています。寝たら、もう明日なんか全然覚えてないんです。こんな人間にとって重要な法則なのに、みんなすぐどこかへいってしまいます。こんな人間に普遍的な法則があるのに、まず学校で教わらないし、東京大学医学部を出ていても知らないんですよね、この法則。教科書にも書いてない。なので、私はこの法則、人間普遍の法則を知って生きる人が増えたらいいなあ、というふうに思っているわけです。なので、心エントリーと言えば、まずこの法則を熟知していることですね。

 

【心エントリーな生き方をするために】

じゃあ、もう少し深く、心エントリーとは何かという話をすると、大きく分けるとこの法則を土台に、常に心の状態に気づいて、そして心の状態をフローという状態、揺らがずとらわれずな状態にして生きようとしていること自体が、心エントリーですね。まずそう思うことだけでも、十分大事なんです。

みんな「じゃあ、どうしたらいいんですか」とか言いますけれども、まず「そう思うだけでいい」んです。つまり、心の法則というのは確かにあるな。まず忘れないようにしていることですよね。そして、心の法則に応じて、「ああ、心の状態というのがあるんだな。そして心の状態というのはすごい大切なんだな。ああ、フローという方向がいいんだなあ。揺らがずとらわれずになっちゃってるな。揺らいでとらわれているよりも、揺らがずとらわれずのほうがいいよなあ」というふうに考える時間があること自体が、もう心エントリーな生き方のほうに向かっている。難しい言 葉を使うと、脳が「パラダイムシフト」されてくる感じですね。

 

気づけば、結果エントリーになっていますから、僕らの脳みそは。それは結果エントリーな社会で私たちは作られて 生きていくので、そういうことを脳がいつもいつもいつもいつも意識していくことですね。

 

もう一つ、この心エントリーという状態を私たちの中に作り出そうと思うと、どんなことをしなきゃいけないのかというと、脳を磨いていないと、心エントリーにはいかないんですね。大抵の人は心の状態が大事だとか言いつつも、まず忘れていますね、この法則を。そして、心の状態をどうやって作っていいのかが、よく分からないというふうになっていて、心の状態をほとんどの人は、外側に起こった出来事にただ反応しながら、心の状態が決まっています。「まあ、そういうのは先生、分かるけど」と言いながら、雨が降ったら「今日はイヤだなあ」、天気がよかったら「今日はいいなあ」。超暑いと「もう今日はむちゃくちゃ暑くて最悪ですね」と言っていたり、寒いと朝から雪で「今日、マジ最悪ですね」と言っていて、涼しかった  ら「今日はちょうどいいですね」。要するに、心の状態が、ただ外側の出来事に反応して決められているだけなんですね。

 

もし自分でこの法則をしっかり分かっているとすると、今度は自分でこの心の状態を作れるようにしていかなきゃ いけないわけですね。それが、実は「脳」なわけです。

 

それこそ今回、私が例に上げた宮本武蔵さん、イチローさん、羽生さんなんかは、この法則をよく理解したうえで、 心の状態を少しでもフローに傾けるためにさまざまな脳を大事にしているんですね。「さまざまな脳の使い方を大事  にしている」といったほうがよろしいでしょうかね。

 

【ライフスキルとは脳を磨くこと】

さまざまな脳の使い方。

それはどんな脳の使い方かというと、一言で言うと、心をフローにするような脳の使い方があります。それを「ライフスキル」と、応用スポーツ心理学では総称しています。

このライフスキルというものが心の状態を作り出していくので、ライフスキルという新しい脳の使い方を磨いていくということの大事さをよく理解している人のことを、「心エントリーな人」「心エントリーな組織」というような言い方をします。

 

私がメンタルトレーニングをやったり、産業医をやっている会社で、会社を挙げてフロープロジェクトのようなものが出来上がっていて、みんなでそのライフスキルというのを磨こうというようなことをしているような会社は、他の会社が考えていること以上に、心のことを考えているので、まさに心エントリーな会社というふうに言えると思うんですね。

 

ライフスキルは、具体的にこれからいろいろやっていきますけども、たとえば、どんなのがあるかというと、好きなことを考える。皆さん、好きなことをちょっと考えてみてください。

 

たとえば、好きな食べ物。私はお好み焼きとお寿司が好きですけど、もう「お好み焼きが好きだなあ」とか、「お寿司、好きだなあ」と考えただけで、今気分が変わります。分かりますか。つまり、自分の心の状態を、今、脳の使い方で  変えられるということですよね。でも、みんなは寿司を食わないと変わらないんです。それで、「寿司、好きだけど、最近食ってねえし」とか言って、気分を悪くしてるんです。僕のこのライフスキルという脳の使い方は、物に依存す るんじゃなくて、そういう脳の使い方さえしておけば、心をフローな方向へ傾けるという仕組みが人間には備わって   いるんです。

 

みんな、結果エントリーの世界で生きちゃってるから、忘れちゃってるんですよね。「今ここで好きな物のことを、先生、考えたって、別に何の得があるんですか」と言って、心が変化すること、心の状態がよくなることをあんまり重んじていないんです。先ほどから述べている法則を忘れているから。法則を知らないから。法則を重んじていないからですね。

 

でも、あの3つの心の三大法則を熟知し、重んじている人にとってみれば、好きな物のことを考えて気分がよくなったことは、えらい価値なわけです。自分の心の状態を自分で作り出して、自分のパフォーマンスを今何が起こっていようがエクセレンスな方向に導けるという、その可能性を持っているということですよね。そんな脳の使い方をライフスキルと呼んでいます。

 

ただ、やっぱりこういう新しい脳なので、そうですね。ぼーっとしているだけじゃつかないんですよね。語学の脳にも似ているので、やっぱり練習していないとだめだと思うんです。新しい語学を身につけようと思うと、たとえば皆さん、英語って知っていてもしゃべれないじゃないですか。ライフスキルって知っていても、ライフスキルを使え  ないんですよ。「知ってる、知ってる」というのと「できる」は全然違うわけですね。なので、ライフスキルという ものを常に常に常に磨いていくということが重要で、心エントリーしている人、組織、チームは何をしているかというと、3つの法則を重んじながら、このライフスキルというものを常に磨いています。

 

【ライフスキルを磨く3ステップ】

ライフスキルを磨くにはどうしたらいいのかというと、何回も何回もさまざまなライフスキルのことを脳の中にすり込んでいくことによって、できるようになっていきます。そして実際にそこで使って学んだことを、実生活の中で脳が実践していくこと。

 

そして、そういう実践したことによって起こる心の変化みたいなものを見つめて、そこをシェアしたり、分かち合っていくことが、このライフスキルを磨く三条件です。「知識を得て、実践して、シェアしていく」  というふうに考えています。

 

この知識、実践、シェアということは、心の法則3つを理解し、結果エントリーから心を 大事にする心エントリーの方向へ、パラダイムシフトをしていくこと。そして、新しい脳の使い方として、心の状態を大事にしていくような心の状態というのを磨き続けていくこと。その磨き続けていくためには、3つ。忘れないよ うにすること、その脳を実際に実践していくこと、そしてそこから得た体感をシェアしていくということを繰り返していくこと。このライフスキルの脳を磨いている人が、また心エントリーの人だなというふうに、私は考えています。

 

おそらく新しい脳を使うようになって、毎日毎日練習すると、人間には脳の中に新しいシナプスが形成されて、脳 の機能として新しいものが自動的にでき始めるようになるのに、まあ、そうですね。3カ月ぐらいはかかりますかね。

脳の中にすり込まれているうちに、3カ月ぐらいしていくうちに「あっ、なんかちょっと違うな」ということが必ず起こります。

 


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