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フローマインド19  わかってあげる生き方

2022.04.28

わかってあげる生き方  (辻秀一メソッドより)


 

■ 「コーチ力」は普遍の法則           

今回から、周りをフローにする「コーチ力」というライフスキルを学びます。

今まで自分の機嫌を自分で取る自分の心の状態をフローに切り替えるという脳の使い方について話をしてきました。

もちろん、自分が機嫌よく生きる。
これこそが周りをフローにする。これにつきます。


人は人間関係の中で、「こうしてほしい」という人類普遍の法則があります。こうしてくれると、フローな方向に  心が傾く。そんな人間のあり方があります。これに例外はないと私は思います。

タイプ別に分けて、人をどのように接するのかというコーチング論がありますが、私のこのコーチ力というのは、  人間普遍の生き方。「こうされると、やっぱりノンフローになる。こうされると、やっぱりフローな方向へ傾く」。血液型ですとか、性格ですとか、老若男女、変わりなく普遍の法則が存在していると思っています。

 

■          フローな気分にさせてくれる人    

このコーチ力というのは、当然ライフスキルなので脳の中のことです。
今までやってきたライフスキルと同じで、特別何か行動を起こしていくことではないのです。


脳の中に習慣化されることで、まわりに伝わるのです。

あの人のところに行くと、何か元気になるなあ。あの人の近くにいると、何かフローな、ハッピーな感じがするなあ。何かあの人のところにいると、やる気がわいてくるなあ。あの人は特別なテクニックを新たに使ってくるわけではありません。

なので、このコーチ力という周りがフローな方向に傾く生き方は、
目標を部下に達成させるためのコーチングのテクニックとはちょっと違います。



今までやってきたライフスキル、その人の脳の習慣をコーチ力というふうに考えてます。
あまりどう違うんだろうとか、詳しく考えるよりも、コーチ力という生き方をしてる人は、周りの人がフローになるよなと考えていただきたいと思います。


 

その根幹は先ほど申し上げたように、人間普遍の原則。
こうしてくれるとフローな方向に傾くということをよくわかって、意識して、まずは生きてるということから始まるというのが、このライフスキル、辻メソッドになっています。


 

どんなことをしてくれると、皆さんはフローな感じになりますか。
その人の周りに行くと元気になるという人は、どんな感じの、どんなことをしてくれる人ですか。


皆さんの周りに行くと元気になる人は、その人そのものが元気で機嫌がいいはずです。ですからこれまでやって   きたライフスキルの中の「自分をフローにしていくというライフスキル」を、あえて言うなら、「社会力」と呼んでます。  社会の中で自分らしく心を切り替えて生きていく力というふうに思います。

そのほかにいろいろあります。例えば、「信頼してくれる」どうでしょうか。

信頼してくれるとなった時に、フローな方向へ傾きませんか。どんなことをしてくれると、フローな方向に行くの  か、ちょっと考えていただきたいと思います。

 

■「わかってほしい」という本能

さて、どんな人も、こうしてくれるとフローな方向に傾く。すなわち、こうしてほしいという本能があります。 それは一体何かというと、その一つが、「わかってほしいという本能」です。どんな人もわかってほしい。

すなわち、わかってくれる人に対してフローな方向に傾くという法則があります。

ということは、「わかってあげる」ってことができる生き方。
その根本にわかってあげるって、考えて生きていれるかどうかが実は重要です。
わかってあげると考えて、どれだけ生きているでしょうか。


ほとんどの人は、わかってほしいという自分の本能を強く満たすために、「わからせる」っていう方向には夢中になってるかもしれません。わかってあげるという考えをしながら生きてる人は少ないはずです。わかってあげると考えずに、わかってあげるという行動が生まれることは少ないです。

 

じゃあ、「わかってあげる」と考えてると、どういうことが起こるかというと、まず自分も気分がいい方向に傾きます。  それはなぜなら、相手がそれによって喜ぶということを、実は自分自身も知ってるからですね。

そのことによって、相手のフロー化が起こる。そのことによって、自分がさらにフローになる、このことを「ミラー  の法則」と呼んでます。

これまで、「フォワードの法則」というのがありました。覚えてますか。与えると考えると、フローな方向に人は   傾くという法則ですよね。だから、与えようと考える。

 

フォワードの法則は相手にはあまり関係なく、「与えると考える」だけで自分自身がフローになるという法則でした。  コーチ力は、相手が主役になってきます。なので、余計に相手に持っていかれないための社会力、これまでやったことが大事なんです。

相手に与えようというフォワードの法則から、今度は、相手がフローな方向に傾くんだということがわかって、相手の喜びを感じると人はフローな方向に、相手からキックバックされて、自分自身がフローになる。

人は、自分も相手も例外なくわかってほしいという本能、法則があるのを自分自身もわかっているので、わかってあげると考えてるだけで、相手にフロー化が起こるということを感じ、そのことによって、さらに相手からエネルギー  をもらえるので、ミラーの法則としてフロー化が起こってきます。


まあ、そういう好循環が起こってくるというわけですね。わかってあげるとまず考えましょう。

 

■          ただ相手の話を聞くだけでいい    

実はこのコーチ力は相手が主役なので、「おれはわかってるんだ」というだけではだめで、「私はわかってるつもりではだめ」で、やはりまずわかってあげると考えて、相手に「わかってもらえてるんだなあ」と感じてもらえるとこ  ろまで、一歩進まないといけません。

コーチ力は、とても難しいし敷居が高いのかもしれません。

ただ、習慣づけて意識していけば、そのほうが自分も相手も気分がいいという体感が起こります。例外ないです。   必ず体験が起こってきます。実践さえすればですね。

まず、わかってあげようと考えてください。ここでの行動のキーワードといえば何かというと、「聞く」というの  が一つあります。聞いてわかる。聞いてあげないとわかってあげることは難しいですね。

 

コーチングの中で、「傾聴」という言葉がございます。

私はコーチングの専門家ではないので詳しいことはよくわ かりませんが、本を読んでみたりすると、目標達成していくための意義ややり方、それをうまく質問して、その本人そのものから引き出し気づかせる。

つまり、いい質問をしながら聞いて、その人の中の答えを探させる。そのことによって、目標達成していけるようなアクションが起こる。主には方法と意義、意味を引き出すっていうふうに私は解釈しているのですが、

こで言う「聞く」は、傾聴、コーチングにいうところの傾聴とはちょっと違います。

 

人は「わかってほしい」という本能がある以上、わかってあげるには、聞かないとわかってあげられない。わかっ  てほしいという本能があるので、人はわかってあげるためには、聞いてあげないとわかってあげることができないので、聞きましょうと。

ただそれだけです。

1個目のキーワードは、「聞く」ということになります。

 

■  「聞いたこと」を相手に伝える

ところが、やはり人っていうのは、ノンフローな状態でいると、人のことを素直に聞き入れてわかってあげるという方向にはなかなか進まない。

これもまた事実です。

ですから、堂々巡り。コーチ力を磨こうと思えば、「社会力だなあ」って、ますますなります。
わかってあげるために「聞く」。ところが、聞いて終わりのケースがたくさんあります。


ほとんどの人は聞く、以上です。

コーチ力は、相手が「わかってもらえた」ってならないといけないので、わかったと伝えることが、次に大事です。

「聞いて、伝える」です。これによって、相手はわかってもらえたってなります。

 

事例を、いくつか申し上げましょう。私が講演や本の中で必ず言う事例をいくつかお話しして、「ああ、そういう感じだよな」って思ってもらえれば幸いです。

 

一つ目は、お母さんと子どもの関係。


お母さんが、子どもと出かけようと思っています。子どもがグズグズグズグズしています。お母さんは、「早くしなさい、早くしなさい」と言います。

大人は、思考、認知が優れているので、思考を未来に飛ばして計画を立てて、やるべきことを未来に対して起こすことができる。子どもは認知がまだ育まれてないので、逆に言うと、今に生きる率が高く、先のことが見通せないので、「早くしなさい、早くしなさい」と、だいたいの子どもはお母さんから言われてます。

子どもはグズグズしてます。そんな時に限って、子どもがどっかにけつまずいてこけます。そして、「痛い」と 泣いてます。「こんな時間のない時に、出かける準備がまた遅れる」とお母さんは考え、またそこでイラッとしてノンフローになります。

 

ただ、お母さんも出かけないといけないので、子どもに聞くというよりは、声をかけます。

わかってあげるっていう感覚よりも、自分が考えてること、今の現状を子どもにわからせようとします。

「聞く」ではなく、声をかけます。

「何とかちゃん、どうしたの?」って聞きます。声をかけます。何とかちゃんは、お母さんから声をかけられたので、  今の自分の気分や状態を言おうとします。

ここで大事なことがあります。人間は、「何をわかってほしいのか」ということです。

 

■          理解してもらいたい2つのこと     

人間がわかってほしいことは、大きく分けると2   つあります。

一つは「考え」。

一つは「感情」です。

人間は、この「考え」と「感情」、「感情」と「考え」をわかってほしい。

なぜなら、自由だからです。 

どう考え、どう感じるかは、人間誰しもが持つ自由の権利です。子どもでも同じです。

何とかちゃんは、「どうしたの?」と声をかけられて、「今、痛いの。そして、つらいの」もしくは「悲しいの」っ  ていう自分の感情や状態をお母さんに言います。わかってほしいからです。

 

その瞬間、大抵のお母さんは「痛くない、痛くない」って、まず言います。子どもはその瞬間に、自分の状況や、それに伴って生じた感情を否定された感じがします。すなわち、「わかってもらえなかった」感じになります。

「痛い」と感じ、「悲しい」と思うことは自由です。誰も否定することはできません。

お母さんは、「そんなところは痛くなくて平気」と感じるかもしれませんが、子どもは「痛くて悲しい」と感じる。  これは自由だし、それを否定する権利も親にもないし、それだからダメだというような意味すらついていません。

 

■          子どもが言うことを聞かない理由

子どもはそれを一瞬にして、お母さんから否定されますので、わかってもらえなかった。ノンフローに傾きます。子どもがノンフローに傾くと、どうなるか。泣きます。言うことを聞かなくなります。ノンフローになれば、人間の機能が落ちるから、携帯電話でいえば、圏外のほうへ傾くからです。

 

余計に動かなくなるので、お母さんは次、認知的に攻めます。

一つは、ご褒美です。
外的な状況で人を動かそうとします。

「泣きやんだら、お菓子あげるからね」「泣きやまないと、今日のお菓子なしよ」って言います。

外的な状況で人を動かす。まさに認知的に攻めます。

まあ、子どもは痛いということをお母さんにわかってほしいなあということで泣いてるので、お菓子で収まらないケースがあります。「なしにするよ」と言われたら、余計に泣くケースのほうが多いでしょう。

 

■          わかってもらうとフローになる    

泣きやまないので、お母さんはさらに認知的に攻めます。
あなたのせいなんだと。「あなたがグズグズしてるから、  こういうことになったのよ。そして、今、急ごうとしている用事は、あなたのことなのよ。そして、お母さんはいか にあなたのためにやってるのか、お母さんは、いかにあなたに今日、時間とエネルギーを投資し犠牲になってるのか ということを、子どもに言う場合があります。


 

子どもにとってみれば、
別にお母さんを犠牲にしたいからでもなく、


お母さんを困らせたいからでもなく、

ただ今
「痛いと感じてることをわかってほしい」っていう本能で泣いているわけです。なので、お母さんは、「そうか、痛い  のか」って言ってあげれば、そして「痛くて悲しいんだね」って言ってあげれば、わかってもらえたので、子どもは  フローの方向に傾きます。機能が上がります。

子どもの機能はやや上がり、そして、こちらの言ってることを聞いてくれる方向へいくでしょう。
そのことによって、子どもも、もしかしたら準備を始めてくれるかもしれません。


 

私のイメージでは、最近、共感ばやりがあります。
必ずしもお母さんが、子どもの痛くて悲しい状況を共感する必要はないと思っています。


現実お母さんは痛くないし、悲しくないからです。

「あ、そうね、痛いわね。悲しいわね。つらいわね」って言うのは、ちょっと違うと思います。
なぜならそこに、うそがあるからです。お母さん自体は痛くないし、悲しくないからです。


 

「痛いっていうふうに感じ、悲しいと思っていることを、お母さんはわかったわよ」って伝えることが重要です。ただそれだけです。そのほうが、お母さんも気持ちがいいし、もっと相手は気持ちがよくなる。すなわちフローに傾く  はずです。

 

■「甘やかし」と「指示」は違う

私はマイナスや負の感情すらも意味づけなので「ない」というのが考えですけど、ここで皆さんが陥りがちなのは、  何かしなきゃいけない時に、そこに一般的に皆さんが言う、負の感情。

マイナスな負の感情を持ってることすらを許してしまうのは、教育上よろしくないというような概念と妄想があります。

例えば、ここで「痛いわね。悲しいわね」ってわかってあげたら、それは甘やかしにつながる。
そんなことを感じ
てはいけないということが教育だというふうに思われがちですが、人間は感じるわけで、どんなことも教育でも、その感情を否定する教育など絶対にないと私は思っております。

そのまま準備もせず遅れていくことを容認することはいけないと思います。

約束は守り準備をして、そこへ行くという行動を指示していくことは教育です。
なので、感情や考えをきちっとわかってあげて、そして何をしたらいいのかという認知の部分を明確に伝えていくことこそが教育でその部分を「指示」といいます。


 

コーチ力は別な言葉でいえば、心の状態をフローにしていくということで「支援」というふうに思っています。

「指示」と「支援」のバランスがいいことが教育なのであって、ネガティブやマイナスや負と意味づけされている感情が起こったことを否定することが教育だというのは、
人間の構造上、私は間違いだと思ってます。


だからといって、「甘やかしていい」と言ってるのではありません。その感情を受け入れて、やるべきことをしっ かりとやって、心の状態をいい状態で必ず何かを遂行していくこと、
し続けていくということが人生に大事なわけで、そこを教育していくことが大切なのではないかなあと思っています。

 

例えば宿題。「宿題、嫌だな」「何が嫌なわけ」って言いがちですけど、嫌だと思うことは自由です。しかし、宿題は忘れてはいけない

宿題をどのようにきっちりやるかということを指示して、「嫌なんだね」ってわかってあげる。このバランスが大事なんじゃないかなと思います。

宿題が嫌だって思うことは容認しますが、宿題をやらないことを容認するのとは違います。

人間は感情と行動とい  う部分で分かれてるわけですから、そのようにとらえていただけるとうれしいです。

 

■「話を聞いた」と相手に伝える

次は、お父さんと息子の事例です。朝、子どもが寝坊して学校が始まろうとしてるのに、まだ寝てたりします。お  父さんが、「おまえ、早く起きろよ。学校、遅れるし、やばくないか」って言います。そうすると、子どもは、「うー  ん、まだ眠いし面倒くせえな」と息子が言った瞬間、お父さんは大抵「何が眠くて面倒くせんだ」って怒ります。

 

でも、眠くて面倒くさいんです。
お父さんも「そうか。眠くて面倒くさいんだね」っていうのは、甘やかしではありません。


一緒に布団に入って寝るのが甘やかしです。

「眠くて面倒くさい」と思うのは、自由です。その権利は誰にでもある。

学校は遅れてはいけない。お父さんも「そうか。お父さんも遅くまで働いた時とか、眠い時あるし」とか「面倒くさい時もあるよな」って言ってもいいんです。

でも、「何が眠いんだ。何が面倒くさいんだ。おまえ、遅くまでテレビ見て、遅くまで漫画読んで、テレビゲームやって、勉強もしないで、夜まで遅くまで起きてるからだろう」って大抵のお父さんは言ってしまいます。

まあ、人間ですから、わかってほしいという本能があるので、わからせる方向へいってしまいますし、自分にフロー でなく余裕がないと、ついそっちの方向へ行きます。

 

いいんですよ。眠くて面倒くさいんだなあって。
しかし、「学校は遅れていいところかどうか、しっかり考えてみろ」 


どんな行動を指示したらいいのかを、ちゃんと明確にしていくことが大事です。

 

■          行動の内容に即した指示をする    

まずは、「お父さん、眠くて面倒くさい時は、まず顔を洗うから、顔でも洗ってみろ」っていうのも大事です。「指示」はしっかり行動の内容にして、対処してください。

でもまず、「面倒くせえなあ」って思ってる時、少なくとも「そうか、面  倒くさいんだなあ」って言ってあげることで、わかってもらえるので、フロー方向に傾きます。そこで、その子どもの機能を上げていきながら、しっかりと指示していかないといけないと思います。

そのまま、「そうか、眠いのか。よしよし」と言ってほしいのとは違います。
そこは絶対に誤解がないようにして ほしい。人間はわかってほしいということ


そこをしっかり満たすのは、心の側面です。

 

子どもは育っていれば、学校は遅れてはいけないということを知ってるので自分で行動します。

でも、  何が眠いんだ。何がうざいんだ。何が面倒くさいんだって、怒られてノンフローの方向に行くと、その行動をしたくなくなります。

なので、まあ、単純なことですけども、わかってあげる。聞いて、伝える。

 

■          障害者の気持ちは理解できない?  

ほかの事例でいえば、一番わかりやすいのは、こんな感じじゃないでしょうか。私はパラリンピックに2   回ぐらい行って、車いすバスケットボールの選手たちと交流しました。

高校時代に骨肉腫で何回も肺に転移して、手術を何回もして死と直面を繰り返したり、交通事故にあって急に高校 時代に体がまひして、「もう歩けないぞ」と言われたり、リハビリを懸命にして、大変な思いを彼らはみんなしています。  その時の話を聞いて、「わかる、わかる。おれもそういう気持ちわかる」って共感するのとは違います。

私自身はその経験はないし、人間は同じ経験はめったにないので、

「その気持ちわかる」というのは、私には残念 ながら難しいと思います。

その経験とその障害を負ってないからです。車いすの彼らが、そういう時代にそういう経験をして、そういう気持ちを抱いて、そういう感情を持って、つらいという気持ちがあったということを、私は「わ かった」と伝えることは可能です。

相手が大変だったんだっていうことを「わかったよ」ということはできる。

子育てしてない旦那さんが、子育てでどれだけ奥さんが大変なのかということを本当に同じようにわかるのは、永久不滅に無理。だって、その経験してない。

だけど、子育てで大変な気持ちをしてるという、あなたがいるということをおれはわかるってことはできるね。

 

なので、わかったと伝える

この習慣が重要で、わかったと伝えるには、わかってあげるといつも考えてないとだめです。わかってあげると考えることによって、わかってあげるという、聞いて伝えるという行動が起きるケースが増えます。

「あなたと同じになれ」じゃないんです。

向こうがわかってほしいというのは、同じになってほしいという共感の前に、「私がこういう気持ちであるということを理解してくれ」っていう感じなんです。

ただわかってもらえればいいんですよ。

同じになって共感だから、共感ばやりはやや危険だなと思うんです。
障害者のことを思い出していただければ、別に障害者が特別じゃなくて、人間みんなそうだよと。


同じになんかなれないんだからっていう感じです。

 

人間は思考から始まってますから、わかってもらえたという人のフローな体感が増え、そしてそのわかってもらえたという相手のフローをミラーの法則で感じとって、さらに私たちがフローになるという体感が、このわかってあげ  るという思考を強化していきます。

今までの社会力、ライフスキルよりもちょっと人が絡んでくるので、やや「難しい感」を感じざるを得ないかもしれません。根本はわかってあげると、人と会う前に、いつも考えること、それだけで十分です。

 

■          部下を腐らせる上司のひと言       

もう一つ、事例を申し上げましょう。もう一つの事例は、会社でこんなことはないでしょうか。

部下が何かの企画書を書いてきます。まあ、大した企画書は書いてこない。見た瞬間に、「何だ、この企画書。いいから、  あしたまでに絶対徹夜してもいいから書いてこいよ」

はい」って感じでやりますが、まあ、それよりいいものはなかなか出てこない可能性が高いです。渋々ノンフローでやります。「やらされてる」感じです。

 

しかし、こういうふうに対応してみたら、どうでしょうか。

人は何をわかってほしいのかというと、考えと感情です。  まず、考えを聞いてみる。「おまえ、どういう考えてこれやったんだ」

と聞きましょう。

当然、部下は、自分の考えを言い始めます。ただ、普段からわかってあげるという生き方をしてないと、「また何 か批判されるんじゃないかな」と思って、自分の考えすら言えなくなってるケースはたくさんあります。でもまず、  聞いてみましょう。

 

そうすると、何か考えを言うはずです。その人の企画書を見れば、大した考えをしてないことはよくわかります。  なので、考えを言い始めた瞬間に、上司はこう言います。

「おまえ、そんな考えしてっからだめなんだ」って、また言ってしまいます。

その人がそう考えたということをまず「わかってあげる」っていうことをおろそかにしますね。

自分をわからせたいから。そして、自分の考えてることをいろいろ言ってしまう。

「そうか、そういうふうに、おまえ考えたんだ。でも、そういう考え方だと、こういうぐらいのものしかできないん  だぞ」っていうのはOK  です。

まず、最初にわかってあげたからです。
ところが、考えてることを言ってるそばからもう「おまえ、そういう考えだからだめなんだ」って言ってしまうケースはないでしょうか。


 

■          相手を受け入れることから始まる

もう一つ、「おまえ、どんな気分で、これやったのか」。例えば、ある部下だったら、「一生懸命やりました」みたいなことを言ったら、その瞬間に、「何が一生懸命なんだ。おまえのこれで一生懸命とは到底思えない。おれの一生 懸命とは、到底違うぞ」みたいなことを言ってしまいますが、まずは一生懸命と感じながらやったり、もしくは「楽  しくやりました」「何が楽しいんだ」って言うんですけど、そう感じながらやったんだからわかってあげましょう。

「一生懸命を感じながらやったのか。そうか。しかし、おれの一生懸命とおまえの一生懸命はレベル違いそうだな」っていうのは、

あとから言ってもいいんです。

さっきのお母さんと一緒です。子どもは痛い、痛くてつらい。でも、お母さんは痛くないは、あとで言ってもいいです。

まず「受け入れる」ということをすると、部下はわかってもらえた感覚が生じるので、フローな方向になり、そし  て上司ですから指示も必要です。どうしたらもっといい企画書が書けるのかを指示し、行動に対するヒントを与えることは大事です。

 

■          人間関係のフローとノンフロー    

下手すると、お父さんもお母さんも上司も、こうなります。

「痛くない、痛くない」「いいから早くしなさい」「何が眠いんだ」

「とにかく頑張れ」「何が一生懸命なんだ」「とにかく徹夜でやれよ」

これは、具体的な指示が入ってないですね

私は、その指示をするところの内容の専門家ではないですが、やはり  その人がいい行動をして結果を出していくために必要な行動を促すアドバイス、指示というのは必要です。

それは教育です。

ただもう一つ、人間は心で動いているので、フロー化を起こすという人間関係性をつくること。

まず人間は、わかっ  てほしいという本能に満ちあふれているので、「わかってあげる」ということを考える生き方を磨きましょう。

そして、わかってあげると考えて、アクションを起こすんであれば、「聞く&伝える」ということを    意識していきましょう。

「わかってあげる」「聞いて伝える」を意識しましょう。

そして実行できれば、much better 。

さらに、フローな人間関係性が人と構築できるようになります。

多くの人を元気にしてたりしてる人っていうのは、このわかってあげるということを意識し、実際に実践してる。   

なので、「あの人はわかってくれるんだ」っていう人間関係性が構築されます。

その「わかってくれる」という人間関係性こそフローな人間関係で、信頼を生みます。

人間関係性の「質」の構築につながりますね。質が上がるということです。

「あの人はわかってくれるんだ」っていう、人間関係性はものすご   く関係性の質の高い人間関係でつながるというふうに思います。

その始まりは、まず「わかってあげる」と考えることからです。

可能なら、あなた自身が実践しましょう。でも、あなたがフローでなければ、皆さんがフローでなければ、それを  実践することは難しいというのは事実だと思います。


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